日本経済は長期的に明らかに成熟化の道を歩んでいるのである。これは先進国としては当然の推移で、驚くべきことではない。日本人の名目所得はすでに世界最高水準であり、家計の資産も最高水準である。日本経済のGDPは世界全体の一五%近くを占める。これだけ豊かになり、かつ規模も大きくなった経済の成長が鈍化するのはむしろ自然である。年率二%で成長してもそれがもたらす変化や影響はきわめて大きい。発展途上国経済のようにI〇%のペースで成長するようなことこそむしろ考え難いのである。
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しかも豊かになった人々は時間当りの生産性が高いから、自由時間の価値がますます大きくなっており、所得が高いだけに自由時間を選好するようになる。また、地球環境への影響を考えても大量生産・大量消費による高成長よりも。ゆったりしたペースで商品を大事に使い生活を楽しむ方が望ましいと多くの人々が考えるようになるのはむしろ自然である。いいかえれば日本の経済社会は明らかに成熟化しつつあるのである。しかし、成熟化へのこうした変化は生活者や社会にとっては自然なことであっても、生産者や企業にとっては重大な影響をもたらすことになる。とりわけこうした変化が深刻な平成不況と二重写しになって進行したから、企業をめぐる市場条件はことのほか厳しいものとなった。