会社の原点、営業現場の評価・処遇を見直してできた制度がある。旅行業界を取り巻く環境は厳しい。景気低迷が長期化する中、旅行費用節約の傾向は年々強まり、さらには全く別の業種がライバルとして肩を並べるようになっている。最近のCMで、夫が車の買い換えを、妻が海外旅行を主張して「勝負」する場面などは、まさに象徴的だ。低成長時代を迎え、限られたレジャー費をさまざまな業界が取り合うボーダーレスな競争はこれからも続いていくだろう。
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旅行業界トップのJTBだが、九八年度は当初目標の経常利益は確保できたものの、取扱額、営業収入ともに前年を若干割り込み、きわめてきびしい状況にあるという。経営体質を強化しつつ、市場の変化に素早く対応していける体制をつくることは同社にとっても大きな課題だ。九五年に導入した「業績対応報酬制度」は、同社で呼ぶところの「利益責任単位の責任者」のためにつくられた。彼らにふさわしい評価制度をつくり、その評価と処遇を連動させること、それにより経営参画意識の向上とステータスアップを図ること、さらには全社における目標管理・実績主義を徹底させることが目標だ。「業績対応報酬制度」の仕組みを簡単に言うと、一人ひとりの前年度の業績と、当年度の役割と期待によって年収を決めるというもの。当初は全国約二六〇名の支店長のみに適用したが、その理由を、人事部企画チームはこう語る。「この制度は報酬が大きな幅で動きますから、客観的データで評価できることがポイントと言えます。その意味で、最初に導入するのは支店長がふさわしいということになりました。支店の営業成績は純利益という数値で成果がきっちりあらわれるからです」支店長を適用対象としたもう一つの理由は、こうした評価・処遇を用意することによって、そのステータスアップを図ろうとしたことだ。それまで同社には管理部門志向が強いといわれる組織風土があったが、これを改めて営業中心の販売会社であることを再認識しようという、いわば、会社の「現場第一主義宣言」である。